第2回「労働の変換効率」

やっと、連載2回目を迎えることができました。
これもひとえに志を同じくする理工系の皆様のお陰というものです。ありがたい。

秋風が吹き始め過ごしやすい季節になってきました。
今年はオリンピックイヤーということもあり、色々な意味でも暑い夏でしたがそれも一段落といった風情です。
若い研究者にとっては秋は学会関連が忙しくなるシーズンですので、これからが本番かも知れません。
ちなみにまりりん君は私が学会から帰ってくるときのお土産のみを今から心待ちに・・しています。

さて、今回は「労働の変換効率」について考察してみたいと思います。

実はこの話は、まりりん君が唐突にしかもいささかの躊躇も見せずに私に聞いてきた疑問がきっかけでした。

・・・遠い目(思い出し中)

「ねぇ博士。なんで理工系の生涯賃金って少ないって言われてるの?」

(そしてまりりん君は私の服装を一瞥しながらニッコリ笑うのです!!)

私は一瞬、ココロに鈍い痛みを感じつつも冷静に考えました。

なぜ、少ないのでしょうか?または、少ないといわれてしまうのでしょうか?
「少ない」といわれてしまうと、まるで社会への貢献度が低いのではないかという感じを受けます。
でも、そんなはずはありません。理工系の業務がこれまでの日本社会に対して大きく貢献してきたことは誰でもよくわかっています。それなのに、生涯賃金が少なくなるのはそれ相応の理由があるはずです。

「まりりん君。それは労働の変換効率が問題なのだよ」

機械システムを考えたときに、シンプルな構造のほうが、エネルギのロスは少なくなります。なぜなら途中の歯車が少ないほうが、エネルギの変換ロスが少なくなるからです。

「ふーん、でもそれって理工系の業務が賃金的に評価が少なくなるのとどう関係してるの?」

世の中で生涯賃金の高そうな業界といえば、まずは金融関係でしょうか?
先ほどの展開からいくと、金融は「お金」を商品として扱うことから、直接お金(商品)を現物支給しているということがいえます。
ですので、金融は労働がお金に変換されるまでのロスが少ない業種といえるのではないでしょうか。

では、たとえばモノづくりの場合はどうでしょうか?
これは、ちょっと考えても労働がお金に返還されるまでの工程が多くなることが想像できます。そのほかの理工系業種においても比較的この傾向が強いということなのだと思います。

「なるほどね。モノづくりは製品が売れたときに初めてお金に変換されるってことよね博士。
だったら、お金までの工程を省けば労働のなんちゃらも上がるんじゃな〜い?」

まりりん君の異常な変換効率の高さ?の結論は真理に近いといえますが、扱う商品によっても変換効率が異なるはずであり、何を選択するかによっても大きく変わるということを見逃してはなりません。(まりりん君のペースに乗らないように)

では、理工系の扱う商品の中で労働の変換効率の高い商品はというと、それは情報です。

「まりりん君、理工系職種の中で、生涯賃金の高さそうな職業というと?」
「お医者さま!」(即答)

彼らの業務はモノづくりというよりは、技術の対価として収入を得ます。
ですので、経験や能力という情報が商品と考えられます。

「ねぇ、博士。やっぱりモノづくりって日陰ってことを言いたいの?」

世間で言われている生涯賃金だけをクローズアップしてしまいがちな世の中ですが、
皆さん、実はそうではありません!!!

確かに一人当たりの生涯賃金を高くするには、お金まで到達するまでの道のりを短くする、あるいは変換効率の高い商品を扱うということになりますが、前者はその分、関連する人数が小さくなります。これは、産業全体の規模を小さくすることになります。
産業規模が小さいということにはあまりメリットがありません。

その点、モノづくりは多くの人が関与することによって、産業規模は大きく、競争原理が正常に働き世の中の発展に寄与しているはずです。また多くの人に賃金を払うことができます。

結局、社会貢献のためには多くの人が生活できる糧を生み出すことも重要であり、まさにモノづくりはその点に貢献しているといえます。

「つまり、理工系の方が社会生活に貢献しているってことねっ!ステキじゃない〜」

まりりん君の言うとおり、これら全体を考えてみた場合に、何が得で何が損のようなことはなく、結局は理工系の方が社会の幸せに貢献しているはずだと言い切ってしまうのは、強引過ぎるでしょうか?

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第1回
「まりりん的はずるいのか」

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「あら、博士。
こんなところでブツブツと」

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