商品コード: RLB222872

定置型Liイオン蓄電池の開発

販売価格(税込): 72,600
ポイント: 0 Pt
■体裁:B5判、264ページ
■発刊:2013/6
■ISBNコード:978-4-7813-0789-3
■シーエムシー出版

★ 定置型Liイオン蓄電池技術と巨大産業の創出! 初の成書!
★ EV・PHEV・HEVに次ぐ第3の市場、定置用Liイオン蓄電池技術の可能性を集成!
★ 定置型Liイオン蓄電池の用途、市場展望、コスト解析、劣化診断、システム適用、材料開発!
★ 材料の長寿命化技術、正極材、負極材、電解液、セパレータ、バインダー、集電箔、外装材!

【監修】
堀江英明、田中謙司

【著者】
堀江英明   東京大学 生産技術研究所 特任教授
田中謙司   東京大学 総括プロジェクト機構 特任准教授
今村大地   (一財)日本自動車研究所 FC・EV研究部 性能研究グループ 研究員
藤原信浩   (株)先端技術情報総合研究所 代表取締役
藤田誠人   (株)野村総合研究所 自動車ハイテク産業コンサルティング部 副主任コンサルタント
菅原秀一   泉化研(株) 代表
鳩野敦生   前・富士重工業(株) スバル技術研究所 主査
橋崎克雄   三菱重工業(株) 原動機事業本部 リチウム二次電池室 主席
小暮正紀   三菱重工業(株) 原動機事業本部 リチウム二次電池室 主席
橋本勉   三菱重工業(株) 原動機事業本部 リチウム二次電池室 主席
辻川知伸   (株)NTTファシリティーズ 研究開発本部 主任研究員
荒川正泰   (株)NTTファシリティーズ総合研究所 バッテリー技術部 部長
小沢和典   エナックス(株) ファウンダー
田路和幸   東北大学 大学院環境科学研究科 教授
南野充則   伊藤忠テクノソリューションズ(株) 科学システム事業部 新エネルギー・インフラ事業推進部 スマートコミュニティ課
荻須謙二   戸田工業(株) 戸田Energy Materials Company経営戦略室 技監
斉藤光正   住友大阪セメント(株) 新規技術研究所 技師長
武内正隆   昭和電工(株) 先端電池材料部 横浜開発センター センター長
鳶島真一   群馬大学 理工学部 環境創生理工学科 教授
山田一博   東レバッテリーセパレータフィルム(株) 技監、技術開発部門 部長
荒井健次   日本ゼオン(株) 総合開発センター 高機能材料第2研究所 エナジー材料1チーム チームリーダー
高橋直樹   日本ゼオン(株) 総合開発センター 高機能材料第2研究所 エナジー材料2チーム チームリーダー

【刊行にあたって】
 Liイオン蓄電池は1991年に市場に登場した高性能電池である。第一の市場として、携帯電話、ラップトップPC等、小型高性能電子機器に次々搭載され、将に現代の高度情報ネットワーク社会の実現を根底から支えることとなった。そして第二の大型市場として、自動車分野への適用が現在強力に推進されつつある。高性能電池を軸とした電動駆動ユニットの適用により、エネルギー効率が高く、かつクリーンなEVやHEVの大量普及実現を目指すもので、世界中の自動車会社が市場を目指して開発・生産にしのぎを削っている。
 ところで、もし自動車に“ハイブリッド”という概念がありエネルギー効率が向上するのであれば、都市や事業所、家庭等においても”ハイブリッド”という概念が同様に成り立ち、エネルギーをより有効に用いる仕組みがここでも新たに創造され得るのではないだろうか。システムが包含するエネルギー・ネットワークのどこかに余剰のエネルギーがあれば吸収・蓄積し、求められる時には必要なだけのパワーを放出すること、つまり『エネルギーのタイムシフト』という機能こそは、エネルギー効率最大化を支える主柱の一つと言えるが、その実現の成否を握るのは、アプリケーションに照準を合わせた高性能二次電池の確かな実現と、最適化されたシステム・デザインにあるに違いない。定置用利用においても、電力供給システムに蓄電機能を設置・統合することで、都市や事業所、コミュニティー、家庭でのエネルギー効率の向上が確かに期待できる時代が遂に訪れつつあるのだと思われる。
 21世紀が世界的にもエネルギー興亡の時代であり続けることを思えば、高性能環境車に留まらず、多大なエネルギーを消費するこれらの領域においても、抜本的なエネルギー変革は必須であって、例えばスマートグリッドのあるべき未来の像に対して、風力発電や太陽電池等の自然エネルギー発電側からのアプローチのみならず、同時にそれが巧く作動するための重要なメカニズムである蓄電機能から肉薄し、新たな技術と基本思想を世界に先駆け提示し、次代の社会を担う産業として主体的に興してゆくことが求められつつあるのではないだろうか。Liイオン電池系は定置用途の観点からみても、数々の優位性があると考えられるが、本書においては、第三の潜在的巨大市場創出の観点から定置用Liイオン電池を捉え、新たな用途に必要とされる特色と材料を含む技術開発の方向性、定置用電池を支える次代のシステム技術と共に、今将に始まりつつある様々な市場構築への取り組みの数々を概観したいと思う。

2013年5月
                                        東京大学 堀江英明、田中謙司

【目次】
【第1編 総論 定置型リチウムイオン蓄電池の可能性と展望】

第1章 リチウムイオン電池とスマートグリッド用定置型市場創造への可能性 
1 はじめに
2 電力システムの課題
3 内燃機関と双方向エネルギーネットワークシステムの要件
4 高性能環境車両の取り組みと考え方
5 エネルギーのタイムシフトとネットワーク化
6 都市・地域のエネルギーシステムの『ハイブリッド化』
7 巨大市場としての定置用リチウムイオン電池の可能性
8 二次電池の歴史と課題
9 リチウムイオン電池の動作原理
10 民生用電池の価格
11 定置用電池の価値とコスト
12 リチウムイオン電池の寿命

第2章 グリッドスケール蓄電池の定置用途への取組みと今後の可能性
1 概要
2 電力グリッドにおける蓄電システムの可能性
2.1 他のエネルギー貯蔵方式との比較
3 定置用二次電池を用いた都市のエネルギー効率化への運用サービス設計

第3章 車載用リチウムイオン電池の定置用途への利用 
1 はじめに
2 車載リチウムイオン電池の二次利用に関する取り組み状況
3 車載リチウムイオン電池の定置用蓄電池システムへの利用
4 V2H関連技術の開発動向
5 まとめと今後の展望

第4章 定置型に向けたリチウムイオン電池の方向性 
1 はじめに
2 リチウム二次電池の特徴
3 技術的な留意点
3.1 信頼性
3.2 安全性
3.3 電池発熱対策
3.4 使用温度範囲
3.5 高容量
3.6 満充電状態での劣化抑制の課題
4 電池材料および製造について
4.1 正極
4.2 負極
4.2.1 合金系の例
4.3 アルミ箔,銅箔
4.4 セパレータ
4.4.1 耐熱セパレータ
4.5 製造設備
4.6 製造
4.6.1 乾燥,水分管理,コンタミ管理
4.7 長寿命化に重要な,極低露点グローブボックス
4.8 エネルギー貯蔵効率
4.9 定置用LIBに関する火災防止条例抜粋
4.9.1 リチウムイオン蓄電池設備の設置と貯蔵に共通する安全対策
4.9.2 リチウムイオン蓄電池設備の設置に係る安全対策
4.9.3 リチウムイオン電池等の貯蔵に係る安全対策
5 大型電力貯蔵用の例
5.1 SAFT社の定置用蓄電システム
6 リチウムイオン蓄電池導入に補助金
6.1 事業名称
6.2 事業概要
6.3 補助対象者
6.4 補助対象機器
6.5 補助率と補助上限額
6.6 事業期間
6.7 補助金申請の流れ
7 将来展望

第5章 定置型Liイオン蓄電池市場の動向と展望 
1 定置用Liイオン蓄電池市場が注目される背景
2 定置用Liイオン蓄電池の市場展望
3 定置用Liイオン蓄電池市場の種類と特徴
3.1 「A ; 既存市場」
3.2 「B;新規市場」
4 定置用市場の変化
4.1 B-1;系統安定化のため発電所/送電網へ設置
4.2 B-2;送電網への投資延期を目的として配電所へ設置
4.3 B-3;非常時バックアップや電気代削減のための住宅・建物など電力需要家へ設置
5 定置用Liイオン蓄電池市場の動向と予測

第6章 大容量Liイオン電池のコスト解析
1 定置型蓄電池のシステムと経済問題
1.1 自然エネルギー蓄電デバイス
1.2 市販の蓄電システムと価格
1.3 定置型蓄電システムの市場価格と市場規模
1.4 小型・移動型における利便性
1.5 大型Liイオン蓄電池の価値
1.6 定置型における新たな価値
1.7 大規模自然エネルギー蓄電の特殊性
1.8 発電と蓄電のコストとその負担
2 セル製造の原材料コスト
2.1 原材料コスト
2.2 正負極材のコスト
2.3 自動車用電池での事例
2.4 原材料のコストダウン
2.5 セルの生産量MWhと正負極材投入量
3 セル製造コスト(設備,労務,用役ほか)
3.1 生産設備と大型,小型の区別
3.2 製造設備の試算
3.3 工場原価への不良率、設備投資額の影響
4 セルの工場原価と販売価格
4.1 原材料コスト
4.2 販売価格と利益率
4.3 別の基礎データによる試算
5 セル,モジュールとユニット
5.1 周辺回路
5.2 系統連系における事例
5.3 周辺システムのコストと効率
6 蓄電システムの運用と蓄電コスト
6.1 蓄電システムの運用とコスト
6.2 充電方法CCとCV
6.3 セル・モジュールの運用とサイクル寿命
6.4 SOC上限カットによるサイクル寿命向上
6.5 蓄電コスト試算(1)
6.6 蓄電コスト試算(2)
6.7 蓄電コスト試算(3)
6.8 蓄電コスト試算(4)
7 まとめ

第7章 Liイオン電池管理システムへ向けた電池劣化診断技術の提案 
1 はじめに
2 動機と目的
3 ベンチマーク
3.1 SOHの推定方法
3.1.1 内部抵抗の増加を計測する方法
3.1.2 劣化指標を用いる方法
3.1.3 満充電容量の低下を計測する方法
3.2 SOCの推定方法
3.2.1 電流積算法
3.2.2 電池モデル式
4 アプローチ
4.1 アプローチの特徴
4.2 電池impedanceの周波数特性
4.3 電池の電気的な構造
4.4 Warburg impedanceの物理的意味
4.5 Faraday impedanceの物理的意味
5 結果および結果の検討
5.1 電池管理システム向けの測定方式の提案
5.2 複素演算化による分解能の向上
6 結言


【第2編 Liイオン電池の開発と定置型蓄電システムへの適用】

第1章 電力貯蔵・産業用機器向け高性能大型リチウムイオン二次電池の開発 
1 はじめに
2 リチウムイオン二次電池の特長
2.1 リチウムイオン二次電池について
2.2 当社リチウムイオン二次電池の特長
2.2.1 電池材料
2.2.2 電極構造
2.2.3 電池形状と外装
3 リチウムイオン二次電池の仕様と性能
3.1 当社リチウムイオン二次電池の仕様
3.2 当社リチウムイオン二次電池の性能
3.2.1 放電レート特性(25℃)
3.2.2 充電レート特性(25℃)
3.2.3 低温放電レート特性(温度特性)
4 電池の安全性評価試験
5 適用製品例
6 まとめ

第2章 定置用大容量リチウムイオン電池の開発と通信用バックアップシステム 
1 はじめに
2 難燃化剤添加による安全性の向上
2.1 難燃化剤添加の効果検証
2.2 200Ah級大形セルにおける安全性評価
3 フロート寿命特性の改善
3.1 部分置換したスピネル系マンガン酸リチウムによる寿命性能の向上
3.2 電解液の最適化による寿命性能の向上
4 システムの開発
4.1 バッテリーマネジメント技術
4.2 バックアップ電源システム
5 まとめ

第3章 ラミネート型定置型リチウムイオン蓄電池の開発 
1 はじめに
2 リチウムイオン電池の寿命
3 ラミネート型の信頼性
4 25Ah級大型電池
5 コスト削減
6 おわりに


【第3編 拡がる定置型Liイオン蓄電池システム】

第1章 直流‐交流ハイブリッド定置型蓄電池システム
1 はじめに
2 家庭向け小規模DC-ACハイブリッド電力システムと定置型蓄電池
3 ビルシステム向け中規模DC-ACハイブリッド電力システムと定置型蓄電池
3.1 発電量が不安定な再生可能エネルギーを電源として,地産地消による安定的な運用を行うシステムの完成
3.2 ITを活用した負荷電力の完全制御と見える化技術の確立
3.3 ITを活用した大型蓄電システムの制御・管理システム確立
3.4 ITによる蓄電システム及び移動体エネルギーを融合した新エネルギーシステムの確立
3.5 IT融合による低炭素型社会システムの構築および省エネルギー型社会活動の誘発
4 まとめ

第2章 スマートグリッドと情報システム 
1 概要
2 伊藤忠テクノソリューションズ 新エネルギー・インフラ事業部の実績
2.1 PVシミュレーション技術
2.2 風力発電シミュレーション技術
3 スマートグリッドに必要な情報システムのプラットフォーム
4 E-PLSM
4.1 E-PLSM概要
4.2 E-PLSM構成
4.3 データ収集・データベース構造
4.3.1 データ収集方法
4.3.2 データベース構造
5 実証事例
5.1 実証実験における目的
5.2 実証実験全体像
5.3 実証実験での利用画面
6 おわりに

第3章 大規模定置利用リチウムイオン電池の可能性―巨大産業創成に向けて― 
1 はじめに――電力システムにおけるエネルギー蓄積の必要性
2 蓄電所の機能と創造される価値
3 蓄電所のデザイン検討
3.1 全自家用車による総走行エネルギー量の見積もり(EV走行時)
4 蓄電所の規模と配置
4.1 配電用変電所近傍に設置する蓄電所用二次電池の規模
4.1.1 昼夜のロードレベリングへの対応(電力量の10%を緩和)
4.1.2 1MW×8時間の緩和
5 リチウムイオン電池の競争力――コスト競争力からの有意性
6 リチウムイオン電池の競争力――エネルギー効率の有意性
7 おわりに


【第4編 Liイオン蓄電池の材料開発:長寿命化の技術】

第1章 定置電源用Liイオン電池の正極材料  
1 はじめに
2 定置用大型電池に求められる特性
3 正極材料
3.1 定置型Li-ion電池の正極材料に求められる要件
3.2 Spinel Mn系正極材料
3.2.1 LiMn2O4(Spinel)4.2V級
3.2.2 Li(Ni0.5Mn1.5)O4 (Spinel)5V級
3.3 三成分系正極材料 (Layered)
3.3.1 三成分系正極材料4.2V級
3.3.2 三成分系正極材料4.6V級
3.4 製造プロセスに関して
4 おわりに

第2章 オリビン型正極材料と長寿命化技術 
1 はじめに
2 LiFePO4の特徴
3 LiFePO4の長寿命化技術
3.1 サイクル劣化のメカニズム
3.2 表面処理,添加剤による高温溶出防止
3.3 正極材の長寿命化対策
3.3.1 カーボンコート
3.3.2 粒径制御と高結晶性化
3.3.3 鉄系不純物の影響
3.4 その他の長寿命化技術
3.4.1 水分の管理
3.4.2 電圧制御
3.4.3 大気による劣化の防止
4 おわりに

第3章 大型LIB用炭素系負極材料の開発 
1 はじめに―昭和電工の炭素・黒鉛系Liイオン二次電池(LIB)関連材料―
2 炭素系LIB負極材料の開発状況
2.1 LIB負極材料の種類と代表特性
2.2 LIB要求項目
2.3 各種炭素系LIB負極材料の特性
3 人造黒鉛負極材のサイクル寿命,保存特性,入出力特性の改善
3.1 人造黒鉛SCMG(R)-ARの特徴
3.2 人造黒鉛SCMG(R)の急速充電性(入力特性)改良
4 VGCF(R)の蓄電両用LIB負極用導電助剤としての添加効果
4.1 VGCF(R)添加によるサイクル寿命の改善
4.2 VGCF(R)添加による出力特性の向上

第4章 定置型蓄電池と電解液
1 はじめに
2 定置型電池の種類と今後の展開
3 電気自動車電池の電力貯蔵装置への再利用
4 リチウムイオン電池用電解液の安定性
5 負極表面処理による電解液の安定性向上
6 正極表面処理による電解液安定性の向上
7 安全性向上のための電解液改良
8 まとめ

第5章 セパレータ 
1 はじめに
2 微多孔膜タイプセパレータの基本機能
3 微多孔膜タイプセパレータのフィルム物性
3.1 細孔構造および孔径分布
3.2 厚みおよび透過性(空孔率,孔径,曲路率,Gurley値)
3.3 機械的強度
3.4 シャットダウン特性,メルトインテグリティー特性,メルトダウン温度
3.5 熱収縮率
3.6 その他
4 微多孔膜タイプセパレータの製法
5 当社品“セティーラ”の特徴
5.1 細孔構造および孔径分布
5.2 機械的強度
5.3 シャットダウン特性,メルトインテグリティー特性,メルトダウン温度
6 共押出技術を用いた微多孔膜タイプ多層セパレータ
7 コーティング技術を用いた微多孔膜タイプ多層セパレータ
7.1 コーティング技術
7.2 耐熱ポリマーコーティング
8 おわりに

第6章 バインダー 
1 はじめに
2 負極用バインダー
2.1 負極用バインダーの種類と特徴
2.2 スラリー作製上の留意点
2.3 乾燥工程上の留意点
2.4 負極用バインダーの電池性能への影響事例
3 正極用バインダー
3.1 正極用バインダーの種類と特徴
3.2 開発品バインダーの耐酸化性
3.3 正極用水系バインダーの分散性
3.4 水系正極用バインダーを用いた電池性能
4 まとめ

第7章 集電箔および外装材料 
1 はじめに
2 大型リチウムイオン電池(セル)の内部構造
2.1 円筒型,平板型と扁平捲
2.2 大電流放電と放熱性
3 集電箔の材料とスペック
3.1 集電箔の選択
4 外装材の構成と加工,組立(封止)
4.1 各種のリチウムイオン電池(セル)の外装材
4.2 ラミネート包材と加工
4.3 金属缶(函)体の外装
5 安全性と放熱設計
5.1 定置用リチウムイオン電池(セル)の安全性
5.2 セルの熱暴走
5.3 法規制と試験方法
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