商品コード: RLB222342

医薬品製剤の品質高度化技術

販売価格(税込): 82,500
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■体裁:A4判、150ページ
■発刊:2005/02
■ISBNコード:978-4-88231-491-6
■シーエムシー出版

★ 医薬品の回収事故例の分析から、事故を未然に防ぎ工程トラブルを回避するために必要な技術を詳述した。
★ 他社製品との差別化のために品質を均一・均質化し、溶出をコントロール(徐放化・速溶化)するための製剤技術について事例にそって解説した。

【著者】
佐川 良寿(さがわ よしひさ)

 1965年京都大学薬学部(薬剤学教室)卒業,同年塩野義製薬(株)に入社。入社後,一貫して研究開発に従事し,製剤の新技術と製造法の開発,製造標準の設定,製剤設計などを担当。1985年バイエル薬品(株)に入社。工場管理・QC活動・統計手法の応用などを担当。
 現在,技術系コンサルタント(神戸経営プラン(株)代表取締役,薬剤師・薬学博士)。
<主著>『統計解析の実践手法』(日本実業出版社),『薬局で売っている薬がわかる事典』(日本実業出版社),『医薬品製剤技術』,『OTC薬と機能性食品開発戦略』(シーエムシー出版)。


【序文】
 近年、企業の不祥事や事故が多発している。これがマスコミで大きく取上げられ、企業が致命的ダメージを受けるケースも数多くみられる。医薬品業界も例外といえない。
 企業にとってこのようなトラブルに巻き込まれないために必要な技術とはなにか?
 この重要なテーマを考えるとき、事故を防止する技術をまっ先に取上げたい。いうまでもなく、あらゆる企業活動は企業の「存続」が前提となるが、この存続を危うくするのが事故の発生であるからに他ならない。
 とはいえ、現代は、最小限度の必要技術だけで、生き残れるほど甘くはない。当然のことであるが、他社を超える技術を生み出し続けなければ、企業存続の意義は失われ、企業は消える運命にある。
 本書は、企業の存立基盤となる最小限度必要な技術と、他社との激烈な競争に打ち勝つための技術について製薬企業に焦点をあて、その中でも製剤工程にしぼって解説した。
 最小限度の必要技術としては、回収事故を防止する観点からの必要技術と、工程をすすめる上で発生するトラブル防止に必要な技術、この2つの技術にフォーカスを当て、具体的事例にそって解説する。
 一方、他社をこえる技術として、品質の均質化を究極にまで高める技術と溶出をコントロールする技術、この2点にフォーカスをしぼって、やはり具体的事例にそって解説する。
 なお、これらの解説をすすめる中で、自社の独自技術創製のためのヒントとなるよう、できるだけ多数の文献を引用・紹介し、これらにコメントを加え導入のきっかけを与えるよう留意した。
 「品質の均質化」ひとつを考えても、これを究極のレベルに高めることは容易なことでないが、欧米のように「経済性」という観点からこのアプローチを否定してしまえば、そこで製造の技術レベルは停止する。本書によって、このテーマがすべて氷解してしまうなどとは、筆者も考えていないが、この大きなテーマを大きくブレークスルーできる方法やヒントは数多く包含できたものと自負している。本書が少しでもこれに貢献できることを願っている。

佐川良寿

【目次】

はじめに

第1章 製剤プロセスにおける事故防止に必要な技術
1. 回収事故を防止する技術
1.1 回収事故がなぜ多発するのか?
1.2 医薬品の品質とは?
1.3 回収の事故事例
1.4 回収の事故分析
1.5 ディザスタープランの作成
1.6 事故防止の具体策
1.6.1 コンタミの防止
(1) 異物・昆虫などのコンタミ防止
(2) ラベルなどのコンタミ防止
1.6.2 「未承認」薬の事故防止
1.6.3 安定性の事故防止
1.7 喫緊の問題点
1.7.1 「効能・効果」の問題点
1.7.2 細菌汚染の問題
1.7.3 残留溶媒の問題

2. 工程トラブルを回避する技術
2.1  流動不良
2.2 付着・凝集性の改良
2.3 顆粒の相互付着防止
2.3.1 エタノールの添加による水の結合力の緩和
2.3.2 水系の結合剤と粉末粒度
2.3.3 付着防止とカッティング 
2.4 流動層造粒における造粒機壁面への付着防止
2.5 流動性の改良
2.6 キャッピングの防止
2.6.1 一般的な対策
2.6.2 キャッピング防止の基本的な考え方
(1) 発生頻度の高い段階での対策
(2) 発生頻度が低い段階での対策
2.7 スティッキングの防止
2.7.1 打錠機の発熱とスティッキング
2.7.2 滑沢剤の混合とスティッキング防止
2.7.3 乳糖コーティングとスティッキングの抑制効果

第2章 医薬品製剤品質の均一化・高度化技術―他社を超える技術の開発―
1. 品質の均一化
1.1 顆粒の均質化
1.1.1 均一化の評価方法
(1) 溶解特性の評価
(2) 顆粒成分の均一化の評価
1.1.2 顆粒一粒単位の均質化
(1) 実験の趣旨
(2) 予備実験
(3) 問題点
(4) 解決法
(5) 完全混合法(粒子一粒単位で完全混合・完全表面改質を行う方法)
(6) 均一混合の原理
(7) 表面改質機の開発
1.1.3 造粒方法による均一性の比較
(1) 事例(1)
(2) 事例(2)
1.2 錠剤の均一化
1.2.1 均一化の評価方法
1.2.2 錠剤重量の均一化
(1) 錠剤重量抑制の一般的な方法
1) ダイフィーダー
2) 二次ホッパーとターンテーブルのギャップ
3) スクレーパーの形状
4) 杵と杵ホルダー長さのバラツキ
5) 下杵軌道
(2) 臼の設置方向と重量変動
(3) 製錠末の充填方法改善による変動抑制
(4) 製錠顆粒の流れを変えることによる変動抑制

2. 品質の高度化:溶出のコントロール
2.1 混合粉砕による徐放化
2.1.1 粉砕時間と崩壊時間
2.1.2 崩壊剤添加量と崩壊時間
2.1.3 持続性製剤開発のシミュレーション
2.2 混合による徐放化
2.3 混合による速溶化
2.4 高速気流混合による速溶化
2.5 コーティングによる徐放化
2.6 結晶多形による徐放化
2.7 凍結乾燥による徐放化
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