商品コード: RLB223072

全固体リチウム電池の開発動向と応用展望

販売価格(税込): 71,500
ポイント: 650 Pt
メーカーURL: https://www.cmcbooks.co.jp/
■体裁:B5判・298頁
■発刊:2019年6月28日
■ISBNコード:978-4-7813-1419-8
■シーエムシー出版

【監修】
辰巳砂昌弘、林晃敏

【刊行にあたって】
現在、移動体用途や定置用途の大型蓄電池としては、リチウムイオン電池が用いられている。この電池は極めて優れた蓄電池であるが、一方でその安全性に対する懸念が完全には払拭できていない。近年ではリチウム電池を搭載したスマートフォンや電気自動車の発火事故に関するニュースも珍しくない。車載用駆動電源や定置用分散電源として、電池より一層の大型化、高エネルギー密度化が進むにつれて、電池の安全担保が課題となっている。有機電解液を無機固定電解質に置き換えた全固体電池は安全性や長寿命を本質的に改善できることに加えて、セルの積層化や冷却装置などの補機の削減による省スペース化が期待できる。さらに、有機電解質よりもリチウムイオン伝導性の高い固体電解質が開発され、それを用いた全固体電池の高出力化の可能性がしめされたことを契機に、企業も含めた研究開発が活発化している。
(本書「はじめに」より抜粋)

【著者】
辰巳砂昌弘 大阪府立大学
林晃敏 大阪府立大学
鈴木耕太 東京工業大学
菅野了次 東京工業大学
宇都野太 出光興産㈱
稲熊宜之 学習院大学
濱本孝一 産業技術総合研究所
浜尾尚樹 産業技術総合研究所
藤代芳伸 産業技術総合研究所
忠永清治 北海道大学
ナタリーカロリーナ ロゼロナバロ 北海道大学
印田靖 ㈱オハラ
金相侖 東北大学
折茂慎一 東北大学
桑原彰秀 (一財)ファインセラミックスセンター
森分博紀 (一財)ファインセラミックスセンター
館山佳尚 物質・材料研究機構
米村雅雄 高エネルギー加速器研究機構
尾原幸治 (公財)高輝度光科学研究センター
塩谷真也 トヨタ自動車㈱
作田敦 大阪府立大学
町田信也 甲南大学
平山雅章 東京工業大学
太田鳴海 物質・材料研究機構
本山宗主 名古屋大学
入山恭寿 名古屋大学
幸琢寛 技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター
内本喜晴 京都大学
松田厚範 豊橋技術科学大学
仲村英也 大阪府立大学
綿野哲 大阪府立大学
櫻井芳昭 (地独)大阪産業技術研究所
長谷川泰則 (地独)大阪産業技術研究所
園村浩介 (地独)大阪産業技術研究所
佐藤和郎 (地独)大阪産業技術研究所
村上修一 (地独)大阪産業技術研究所
金村聖志 首都大学東京
奥村豊旗 産業技術総合研究所
竹内友成 産業技術総合研究所
是津信行 信州大学
手嶋勝弥 信州大学
猪石篤 九州大学
岡田重人 九州大学
伊藤大悟 太陽誘電㈱
川村知栄 太陽誘電㈱
秋本順二 産業技術総合研究所
片岡邦光 産業技術総合研究所
西尾和記 東京工業大学
一杉太郎 東京工業大学
佐々木俊介 ㈱アルバック


【目次】
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【第 I 編 固体電解質】
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<固体電解質材料> 

第1章 結晶性硫化物系固体電解質
1 固体電解質
2 全固体電池
 2.1 全固体電池の特徴
 2.2 さまざまな全固体電池
3 リチウム系固体電解質材料
 3.1 硫化物系固体電解質
4 今後の展望

第2章 硫化物ガラス系固体電解質
1 はじめに
2 ガラス電解質の特長
3 導電率
4 安定性
5 おわりに

第3章 硫化物系固体電解質の特性向上
1 はじめに
2 硫化物固体電解質Li7P3S11(70Li2S-30P2S5)ガラスセラミックスについて
3 Li7P3S11結晶の特長
4 70Li2S-30P2S5ガラスの結晶化挙動
5 70Li2S-30P2S5ガラスセラミックスの特性向上
6 おわりに

第4章 ペロブスカイト型リチウムイオン固体電解質
1 緒言
2 ペロブスカイト型Liイオン固体電解質の構造,化学結合,イオン伝導性
 2.1 ペロブスカイト型化合物の結晶構造
 2.2 Aサイト欠陥をもつペロブスカイト型Liイオン固体電解質とLi位置
 2.3 ペロブスカイト型Liイオン固体電解質におけるイオン拡散機構空孔拡散機構とパーコレーション
 2.4 イオン拡散における活性化状態―ボトルネックと活性化エネルギー
3 ペロブスカイト型Liイオン固体電解質の粒界におけるイオン伝導と電気化学的安定性
 3.1 粒界におけるイオン伝導
 3.2 電気化学安定性―Li電池の固体電解質として
4 まとめと展望

第5章 NASICON型固体電解質
1 NASICON構造材料
2 組成と構造の多様性
3 Naイオン伝導体
4 Liイオン伝導体
5 焼結に関する課題

第6章 ガーネット型固体電解質
1 はじめに
2 合成方法
 2.1 固相法
 2.2 液相法
 2.3 気相法
3 焼結助剤を用いた低温焼結
 3.1 ルツボからのAl2O3混入による焼結性向上
 3.2 焼結助剤の添加による低温焼結
4 電極/電解質界面の制御と全固体電池への応用
5 おわりに

第7章 酸化物ガラス系固体電解質
1 はじめに
2 成形性を有するガラス電解質
3 全固体電池への適用
4 おわりに

第8章 全固体電池への応用に向けた酸化物系固体電解質の開発
1 リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LICGCTM)
2 ガラスセラミックス添加によるリチウムイオン電池の特性向上
3 ガラスセラミックス基板(LICGCTM:AG-01)の開発
4 リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの空気電池用電解質としての応用
5 焼結法にて製造したガラスセラミックス電解質(LICGCTM:焼結体-01)
6 リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの全固体電池用電解質としての応用

第9章 錯体水素化物固体電解質とそれを用いた全固体電池
1 はじめに
2 錯体水素化物の構造相転移とリチウムイオン伝導
3 錯体水素化物リチウムイオン伝導体
 3.1 Li(BH4)系錯体水素化物
 3.2 クロソ系錯体水素化物
 3.3 クロソ系錯体水素化物の高温相の室温安定化
4 リチウム負極を用いる全固体電池への応用
5 おわりに

<解析・設計> 

第10章 第一原理計算を用いたリチウムイオン伝導体界面におけるイオン伝導機構の解析
1 はじめに
2 La(2-x)/3LixTiO3系固体電解質中に形成されるドメイン構造とLiイオンの移動現象解析
3 LiCoO2中の粒界の電池特性への影響
4 まとめ

第11章  全固体電池における電極―電解質界面の計算科学解析
1 はじめに
2 計算手法・理論
3 全固体電池正極-固体電解質界面の第一原理計算解析
4 おわりに

第12章 中性子散乱による固体電解質の構造解析
1 結晶性固体電解質の構造解析
 1.1 固体電解質の構造解析の重要性
 1.2 超イオン伝導体と結晶構造解析の関係性
2 構造解析手法
 2.1 中性子散乱の特徴
 2.2 回折法の基礎
 2.3 飛行時間中性子回折法
 2.4 粉末結晶構造解析
 2.5 Rietveld法
 2.6 フーリエ合成とMaximum Entropy Method Analysis(MEM解析)
3 結晶構造解析の実例
 3.1 試料の準備
 3.2 中性子構造解析の実例
4 まとめ

第13章 放射光X線を用いた硫化物ガラス電解質の解析
1 放射光X線を用いたガラスの構造解析
2 Li2S-P2S5硫化物ガラスの局所構造
3 75Li2S-25P2S5硫化物ガラスの結晶化に伴うイオン伝導率の変化
4 差分PDF解析による混在構造の分離解析
5 微結晶とイオン伝導の相関


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【第 II 編 デバイス技術】 
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<電極活物質材料>

第1章 硫化物系固体電解質の微細化・均質分散による電極-電解質界面構築(LIB用活物質の適用)
1 硫化物系固体電解質の成形性(塑性変形挙動)
2 常温加圧焼結を応用した緻密電極層の作製
3 固体電解質の微細化
4 電極層のイオンおよび電子伝導性の評価
5 今後の展望

第2章 全固体リチウム硫黄電池について
1 はじめに
2 硫黄複合体電極の調製
3 全固体リチウム硫黄電池の高温動作特性
4 充放電打ち切り電圧が全固体リチウム硫黄電池の特性に及ぼす影響

第3章  高電位正極を用いた硫化物全固体電池の現状と課題
1 はじめに
2 LiNi1/2Mn3/2O4/Li10GeP2S12/AB正極複合体の電気化学特性
 2.1 表面修飾による充放電特性の向上
 2.2 酸素欠損導入による電子伝導性の改善
 2.3 5 V級全固体電池動作の実証
 2.4 LiNi1/2Mn3/2O4/Li10GeP2S12/AB正極複合体の劣化機構解析
3 今後の展開

第4章 固体電池へのシリコン負極の適用
1 はじめに
2 充放電時に体積変化を経験する負極活物質の課題
3 有機電解液に替えて無機固体電解質を用いることによる活物質・電解質界面の安定化
4 ナノ多孔構造導入による活物質材の微粉化回避
5 おわりに

第5章 酸化物系無機固体電解質を介したLi金属の析出溶解機構
1 はじめに
2 析出反応に影響を及ぼす因子
 2.1 電流密度
 2.2 集電膜からの圧力
 2.3 集電膜中へのLiの固溶度
 2.4 析出サイトの不均一性
3 溶解反応に影響を及ぼす因子
 3.1 電流密度(Liの自己拡散)
 3.2 ボイド形成
 3.3 不純物(酸化リチウム,炭酸リチウム)生成の影響
4 析出溶解反応の安定化への課題
 4.1 短絡
 4.2 ボイド形成・成長の抑制
5 おわりに

第6章 全固体電池の評価・解析手法
1 はじめに
2 全固体LIBの試作方法
3 全固体LIB用の評価法の開発
4 酸化物系全固体LIBの評価
5 おわりに

第7章 全固体電池におけるオペランド構造解析
1 はじめに
2 深さ分解XAFS法
 2.1 概要
 2.2 原理
 2.3 測定例
3 二次元XAFS法
 3.1 概要
 3.2 原理
 3.3 測定例
4 波長分散型X線回折法
5 おわりに

<プロセス技術>

第8章 硫化物固体電解質の液相合成
1 硫化物系固体電解質の液相合成手法
2 液相加振(LS)法によるLi3PS4(LPS)の合成
3 液相加振(LS)法によるLi7P2S8I(LPSI)の合成

第9章 ドライコーティングによる活物質と固体電解質の複合化
1 はじめに
2 ドライコーティングの基礎
3 固体電解質モデル材料を用いた基礎検討
4 硫化物固体電解質を用いたドライコーティングとセル性能評価
5 おわりに

第10章 貫通多孔シートを用いた電解質層の薄層化技術
1 背景
2 実験
 2.1 固体電解質の調製
 2.2 貫通多孔シートの作製
 2.3 固体電解質シートの作製
 2.4 電極の作製
 2.5 全固体電池の作製
 2.6 作製した全固体電池の充放電評価
3 総括

第11章 エアロゾルデポジション法を用いて作製した全固体リチウムイオン二次電池
1 はじめに
2 固体電解質
3 AD法による正極層の形成
4 全固体電池の作製
5 高容量正極および高電圧正極の使用
6 まとめ

第12章 通電焼結法を用いた全固体電池の開発
1 はじめに
2 通電焼結法の特色
3 通電焼結による酸化物固体電解質粉体間の接合
4 通電焼結による電極活物質/固体電解質界面の接合
5 通電焼結で作製したバルク型固体電池の特徴
6 おわりに

第13章 全結晶型リチウムイオン二次電池の開発
1 そろえる:晶相・晶癖発達面制御
 1.1 LiCoO2結晶層の{104}面発達制御と反応抵抗解析
 1.2 {104}面が発達したLiCoO2単結晶粒子の超高出力特性評価
 1.3 Li7La3Zr2O12単結晶粒子の面発達制御育成
 1.4 Li7La3Zr2O12粒界モデルと粒界Li+伝導解析
2 つなぐ:異相界面接合
 2.1 LiCoO2焼結体表面でのLi5La3Nb2O12稠密結晶層の直接成長
 2.2 LiCoO2/Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12-Li3BO3合剤電極の一括形成
3 転写する:パターン化電極
 3.1 金属アレイのフラックス変換によるパターン化稠密結晶層電極形成
4 まとめ

第14章 NASICON型酸化物を用いた単相型全固体電池
1 バナジウム系単相型全固体電池(Na3V2(PO4)3)
2 Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3およびLi1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3 +Li3BO3
3 Ag1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3

第15章 一括焼成により得られる積層型酸化物系全固体電池
1 はじめに
2 固体電解質・活物質材料の選定と,一括焼成技術
3 固体電解質材料合成と薄層シート作製
4 積層型全固体電池の作製
5 おわりに

第16章 単結晶電解質部材の開発
1 はじめに
2 電解質部材の課題
3 単結晶育成技術
4 フラックス法による単結晶合成
5 浮遊帯域溶融法による単結晶育成
6 単結晶電解質部材の評価・解析
7 単結晶電解質部材の今後の課題

第17章 全固体電池における低抵抗固体界面の実現
1 はじめに
2 研究のアプローチ:全真空プロセスによる清浄界面を形成した薄膜Li電池の作製と電池特性評価
3 LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2薄膜を利用した固体電解質/電極界面抵抗の研究
4 集電体フリーのLiNi0.8Co0.2O2エピタキシャル薄膜Li電池の作製と電池特性評価
5 5 V級正極LiNi0.5Mn1.5O4モデル電極における界面抵抗
6 おわりに:まとめと展望

第18章 全固体薄膜リチウム二次電池の量産製造技術
1 全固体薄膜リチウム二次電池の構造と構成部材
 1.1 全固体薄膜リチウム二次電池の構造
 1.2 構成部材
2 全固体薄膜リチウム二次電池の製造技術
 2.1 全固体薄膜リチウム二次電池用の製造装置
 2.2 スパッタリングターゲット
3 全固体薄膜リチウム二次電池の特性
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