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商品コード: RLB100131

最新の炭素材料実験技術(分析・解析編)

販売価格(税込): 4,950
ポイント: 0 Pt
■体裁:A4版187ページ
■発刊:2001/11/28
■ISBNコード:4-89808-034-0

【執筆者】
上村誠一 九州大学機能物質科学研究所/
吉田 明 武蔵工業大学機器分析室/
押田京一, 遠藤守信 長野工業高等専門学校電子情報工学科, 信州大学工学部/
児玉昌也 産業技術総合研究所エネルギー利用研究部門/
岩下哲雄 産業技術総合研究所エネルギー利用研究部門/
白石 稔 東海大学開発工学部/
福山勝也, 西川惠子 千葉大学電子光情報基盤技術研究センター, 千葉大学大学院自然科学研究科/
三浦孝一 京都大学大学院工学研究科/
西澤 節 (株)神戸製鋼所化学環境研究所/
辰巳国昭 経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部/
片桐 元 (株)東レリサーチセンター 構造化学研究部/
松原恵子, 榎 敏明 (株)サムスン横浜研究所, 東京工業大学理学部/
日野照純 千葉大学工学部/ 金野英隆 北海道大学大学院工学研究科/
奥山直樹 電気通信大学電子工学科/ 林 卓哉, 遠藤守信 信州大学工学部/
京谷 隆, 許 維春 東北大学多元物質科学研究所, (財)産業創造研究所/
寺井隆幸 東京大学大学院工学系研究科

※所属、肩書き等は本書発刊当時のものです。

【序文】
"炭素材料の実験に必携の書炭素材料学会が「最新の炭素材料実験技術(分析・解析編)」を出版しました。
当学会は20年以上前に「炭素材料実験技術」を出版しましたが,この20年間の産業界や科学技術の変化は大変大きく,
炭素材料製品やそれに関連した実験技術や研究手法もまさにその代表的な一つで,新しい展開が多くありました。
特に,カーボン・ナノチューブに代表される最近のナノテクノロジーには20年前にはなかった分析・解析技術が
日常的に使われています。
また,このような新しい分析技術は黒鉛・炭素材料の分野で最初に取り入れられた歴史が従来からありました。
本書はこれらの進展に応え,新しい技術も含めて学会員,学生や関連する人たちに便宜をはかるため,
機関紙「炭素」に連載されものを編集委員会がまとめたものです。
真に時機を得た企画で,関係者が待ち望んでいた書物と言えるでしょう。
本書は炭素材料の分野で比較的広範囲に使用されている固体構造,表面・細孔構造,化学・電子構造など
18件の機器分析技術を解析している。著者は編集委員で最適な人を選び,なるたけ若く,
かつ実際にそれらの機器に携わっている人たちで,分析や解析の勘所を紹介している。
また,「序」にも書かれているように「基礎的で一般的な原理や仕組みなどについても,
別の解説書や参考書などをひもとかなくてもある程度理解できるように,わかりやすく平易に解説し,
それぞれ取り扱っている手法について,その手法を用いれば何ができるか,何がわかるか,
得られたデータをどのように解釈したらよいのかなど,初心者が真っ先に参考にしてもらえるよう十分配慮」しています。
はじめて手掛ける分析・解析機器への解析書として優れており,炭素材料の研究を始めた学生や研究者にとっては,
他にこれだけまとまった構造解析の書物はないこともあり,まさに必携の書であろう。
しかし,入門的な内容だけではなく,専門家にも参考になる最新の情報が収められている充実した解説書でもあります。
さらに,編集者のおおいな努力により価格も低く抑えたことは大変喜ばしい。

白石 稔(炭素材料学会 会長)

【目次】

第1章 偏光顕微鏡による組織観察と解析
1.はじめに
2.炭素の偏光顕微鏡観察の原理
2.1 複屈折性
2.2 偏光現象(Polarization)
2.3 偏光プリズムと偏光板, およびその働き
2.4 オーソスコープ
2.5 干渉色
2.6 コノスコープ(Conoscope)
3.偏光顕微鏡の構造
3.1 器械的装置
3.2 光学的装置
3.2.1 偏光顕微鏡用対物レンズ
3.2.2 接眼レンズ
3.2.3 コンデンサー
3.2.4 ポラライザー(Polarizer)
3.2.5 アナライザー(Analyzer)
3.2.6 鋭敏色検板(Sensitive color plate)
3.2.7 落射照明法
3.2.8 光源
3.2.9 代表的な偏光顕微鏡
4.偏光顕微鏡による炭素材料の観察
4.1 観察に用いる試料の調製
4.2 偏光顕微鏡による炭素関連試料の観察例
4.2.1 熱分解黒鉛(Pyrolytic graphite)
4.2.2 ピッチ中のメソフェーズ小球体の観察例
4.3 液相炭素化の動的観察
4.4 加熱ステージを用いた炭素化過程の動的観察例
5.まとめ

第2章 走査電子顕微鏡による微細組織および形態の観察と解析
1.はじめに
2.SEMの原理
2.1 電子と物質の相互作用
2.2 SEMの基本構造
3.SEMで何ができるか?
4.SEMで何がわかるのか?
5.炭素材料の微細組織観察のための試料調製法とその観察方法
5.1 試料調製法
5.2 観察法および観察条件
6.炭素繊維の直径などを高精度で測長する方法
7.HOPGなど高配向黒鉛の結晶粒径や結晶方位分布の測定法
8.装置の種類と性能による使い分け

第3章 透過電子顕微鏡像の画像処理による組織・構造解析
1.はじめに
2.透過電子顕微鏡による炭素材料の観察
2.1 TEMの光学的構造と基本操作
2.2 TEM像の種類
2.2.1 散乱吸収コントラストによる像
2.2.2 電子線回折像
2.2.3 回折コントラストによる像
2.2.4 位相コントラストによる像
2.2.5 エネルギーフィルタによるゼロ・ロス像
2.3 観察試料の作製
2.3.1 摩砕法
2.3.2 超薄切片法
2.3.3 イオンミリング法
2.3.4 超音波による分離
3.TEM像の画像処理
3.1 画像処理の流れ
3.2 フーリエ変換による空間周波数解析
3.2.1 2次元フーリエ変換
3.2.2 ウインドウ処理
3.2.3 フーリエ変換による解析
3.2.4 逆フーリエ変換による画像の再構成
3.2.5 活性炭組織の解析
3.3 画像の計測
4.おわりに

第4章 走査型トンネル顕微鏡・原子間力顕微鏡による表面観察
1.はじめに
2.原理と装置
2.1 STM
2.2 AFM
2.2.1 コンタクトモードAFM
2.2.2 AC(タッピング)モードAFM
2.3 SPMファミリー
2.4 装置
2.4.1 本体および制御部
2.4.2 探針
2.4.3 市販装置・価格等
2.4.4 設置
3.測定の実際
3.1 対象となる試料
3.2 観察試料の準備
3.3 セットアップと像観察
3.4 データの解釈
4.炭素材料の観察例
4.1 HOPG
4.2 黒鉛層間化合物
4.3 フラーレン・ナノチューブ
4.4 炭素繊維
4.5 カーボンブラック・その他
5.おわりに

第5章 X線粉末回折法による結晶構造解析
1.はじめに
2.X線粉末回折法
3.黒鉛化度(P1)
4.黒鉛化度(P1)を得るためのX線回折データの測定方法
5.黒鉛化度(P1)の計算方法
6.格子定数, 平均面間隔, 結晶子サイズを計算するためのX線回折データ(学振
法)の測定方法
7.おわりに

第6章 電子回折法による構造解析
1.はじめに
2.電子回折の特徴
3.回折パターンの観察と解析法
4.炭素材料の電子回折パターン
4.1 黒鉛およびその回折スポットの指数付け
4.2 高温処理炭素
4.3 コークスおよびチャー
4.4 繊維状炭素
5.電子回折における最近の進歩

第7章 小角X線散乱法による細孔構造解析
1.はじめに
2.小角X線散乱の基礎
2.1 散乱パラメータ
2.2 小角散乱の三原則
2.3 散乱領域を分ける
3.小角X線散乱実験
3.1 装置
3.2 測定上の注意点
4.炭素材料への適用
4.1 Guinierの慣性半径
4.2 Cross-section plot
4.3 距離分布関数
4.4 表面フラクタル解析
5.おわりに

第8章 フーリエ変換赤外分光法による分子構造と官能基分析
1.はじめに
2.FTIR法の基本原理
2.1 赤外分光法の原理
2.2 FTIR法の原理
3.測定法
3.1 透過法
3.2 全反射測定法(ATR法)
3.3 拡散反射法
3.4 光音響分光法(PAS)
3.5 顕微赤外法
4.FTIR測定の実際
4.1 定性分析と定量分析
4.2 In-situ測定
5.顕微DR法によるin-situ測定とスペクトルの解析例
5.1 測定例1:樹脂, 石炭の加熱に伴う変化の追跡
5.2 測定例2:石炭とピリジンの相互作用の評価
6.おわりに

第9章 1Hおよび13Cを用いた核磁気共鳴法による化学構造分析
1.はじめに
2.装置
3.NMRの基礎
3.1 NMRロックと化学シフト基準
3.2 パルス
3.3 FIDとFT-NMR
3.4 緩和
3.4.1 縦緩和(T1)
3.4.2 横緩和(T2)
3.5 スピンロック
3.6 NOE(Nuclear Overhauser Effect)
3.7 緩和試薬
3.8 双極子-双極子相互作用
3.9 化学シフトの異方性と化学シフト
3.10 MAS(Magic Angle Spinning)
3.11 デカップル
3.12 ゲート付きデカップリング
4.NMR測定
4.1 NMR測定の基礎調整
4.1.1 プローブチューニング
4.1.2 NMRロック
4.1.3 シム
4.1.4 レシーバーゲイン
4.1.5 観測周波数, スペクトル幅, データポイント数
4.1.6 90°パルスの決定とパルス繰り返し間隔
4.2 1H-NMR測定
4.2.1 溶媒とシフト基準
4.2.2 試料量
4.3 13C-NMR測定
4.3.1 溶液試料
4.3.2 固体試料
4.3.3 溶融試料
5.ピッチのキャラクタリゼーション
5.1 1H-NMR
5.2 13C-NMR

第10章 7Liを用いた核磁気共鳴法による化学構造分析
1.はじめに
2.NMR法の原理と測定上の注意
2.1 核スピンと核磁気共鳴現象
2.2 パルスフーリエ変換NMR(FT-NMR)の原理と測定パラメータ設定上の
注意
2.2.1 FT-NMRの原理と90°励起パルス
2.2.2 励起パルスの幅(時間)と強度
2.2.3 励起パルスの繰り返し時間
2.2.4 検出器デッドタイムの設定
2.3 核四極子相互作用
2.4 マジック角回転法(MAS法)
3.炭素に挿入されたリチウムの7Li-NMR測定
3.1 実際の測定上の注意
3.2 7Li-NMRによって得られた知見
3.2.1 天然黒鉛
3.2.2 黒鉛化過程のソフトカーボン
3.2.3 低温焼成炭素
3.2.4 炭素化ハードカーボン
4.おわりに

第11章 ラマン分光法による構造分析
1.はじめに
2.ラマン散乱の概要と原理
3.測定方法
3.1 装置
3.2 測定上の注意点
4.解析方法
4.1 グラファイトのラマンスペクトル
4.2 エッジ面のラマンスペクトル
4.3 励起波長依存性について
4.4 グラファイトのラマンスペクトルの詳細な帰属
5.応用例
5.1 炭素材料の微細構造のキャラクタリゼーション
5.2 リチウム二次電池用グラファイト粉末の評価
5.3 顕微ラマンの応用 -イオン注入した炭素繊維の分析-
6.フラーレン, カーボンナノチューブ, カルビンのラマンスペクトル
7.まとめおよび今後の課題

第12章 電子スピン共鳴法による電子状態と構造解析
1.はじめに
2.装置と実験方法
3.ESRスペクトルの解析法
4.伝導電子スピン共鳴の解析法
5.各種炭素材料のESRスペクトル
5.1 炭素材料のCESRスペクトル
5.2 熱処理炭素試料のESR
5.3 カーボンファイバ
5.4 常磁性欠陥センターをもつグラファイト
5.5 多孔性炭素
5.6 グラファイト層間化合物
5.7 フラーレン類

第13章 紫外光電子分光法による電子状態分析
1.はじめに
2.光電子分光で何がわかるか-光電子分光法の原理
2.1 量子状態と光励起
2.2 孤立原子・分子系の光電子放出
2.3 固体の光電子放出
2.4 現象から見た固体からの光電子放出
2.5 実際の光電子スペクトルの見方
3.測定装置
3.1 光源
3.1.1 共鳴線光源
3.1.2 連続光源
3.2 電子エネルギー分析器
3.2.1 阻止電場型電子エネルギー分析器
3.2.2 静電型電子エネルギー分析器
3.3 試料作製用真空槽
4.測定例
4.1 フラーレン類
4.1.1 C60と無定形炭素のUPS
4.1.2 アルカリ金属ドープフラーレン
4.2 グラファイト
4.2.1 グラファイトの角度分解型光電子スペクトル
4.2.2 グラファイト-カリウム層間化合物C8K
5.まとめ

第14章 X線光電子分光法による表面分析
1.はじめに
2.XPSスペクトルの見方
3.装置
4.測定上の注意点
4.1 装置の校正
4.2 試料とその取り扱い
4.3 測定
4.4 帯電補正
5.データの取り扱いと解釈
5.1 ピーク分離
5.2 データベース
5.3 化学シフトによる状態分析
5.4 サテライトピーク
5.5 オージェパラメーターによる状態分析
5.6 半定量分析
6.イオンエッチングと深さ方向の分析

第15章 オージェ電子分光法による組成分析
1.はじめに
2.オージェ電子
2.1 オージェ過程
2.2 オージェ電子の運動エネルギー
3.AES分析の測定環境
3.1 2次電子の脱出深さ
3.2 超高真空
4.オージェ電子分光装置
5.オージェスペクトル
5.1 KVV遷移のオージェスペクトル
5.2 炭素のオージェスペクトル
6.オージェ分析の応用
6.1 組成分析
6.2 深さ方向分析
7.市販装置と依頼分析
8.おわりに

第16章 電子エネルギー損失分光法による構造解析
1.はじめに
2.電子エネルギー損失分光法とは
3.電子エネルギー損失分光法でわかること
4.使用する装置
5.EELS測定の流れ
5.1 試料に関して
5.2 エネルギー分解能に関して
5.3 空間分解能に関して
6.炭素材料のスペクトル
7.エネルギーフィルターによる像形成および元素マッピング
8.最後に

第17章 二次イオン質量分析法による表面分析
1.はじめに
2.SIMSの装置構成と測定方法
2.1 D-SIMSとS-SIMS
2.2 装置構成
2.3 測定
2.4 解析
3.SIMSによる炭素材料の分析例
3.1 高感度表面分析
3.2 水素の分析
3.3 炭素表面の構造分析
3.4 深さ方向分析
3.5 同位体分析
4.おわりに

第18章 加速器を用いた元素分布の測定
1.序
2.ラザフォード後方散乱分光法(RBS)
2.1 RBSによる元素分析の原理
2.2 後方散乱イオンのエネルギースペクトル
2.3 組成の決定法
2.3.1 炭素材料のような軽い母体元素中に含まれる微量の重い元素の分析
2.3.2 合金や化合物の組成分析
2.3.3 コンピュータプログラムによる解析(RUMPコードによる解析)
2.4 RBS装置の概略
3.反跳原子検出法(ERD)
3.1 ERD法の測定原理
4.炭素材料研究への応用例
4.1 RBSによるイオン注入した炭素材料中のイオン分布の測定
4.2 チャネリング測定による高配向性熱分解黒鉛(Highly Oriente
d Pyrolytic Graphite; HOPG)の結晶性評価
4.3 RBSによるGICの組成分析
4.4 ERDによるDLC中の水素濃度の測定
5.おわりに

附 録
炭素材料のX線回折法に関する学振法
人造黒鉛の格子定数および結晶子の大きさ測定法〈改正案〉
「人造黒鉛の格子定数および結晶子の大きさ測定法」における強度補正係数および結晶
子の大きさ測定法の数式化とコンピュータ処理
英文略語一覧表
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